ヘンプシードオイルは、「栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品」であるスーパーフードとして知られています。

体内では合成できない必須脂肪酸のリノール酸(オメガ6)とα-リノレン酸(オメガ3)がバランスよく含まれており、体にもさまざまなメリットを及ぼすと言われています。
今回は、ヘンプシードオイルに見られる体へのメリットについて、海外からの論文なども踏まえてあらためて皆さんにご紹介したいと思います。
■ヘンプシードオイルがもたらす体へのメリット
ヘンプシードオイルが体にもたらすメリットとして、皮膚や月経痛に与えるものを挙げていきます。
・ニキビの腫れを抑える
ヘンプシードオイルは、ニキビの腫れを抑えるメリットがあると論文で報告されています。
大麻の種子から抽出された物質には、ニキビのもととなるバクテリアの成長を抑え、さらに皮膚から分泌される皮脂も抑制します。また、ヘンプシードには皮膚にハリを与えて健康的な肌に保つコラーゲンを多く作る作用もあるとしています。
Solee Jin , Mi-Young Lee;The ameliorative effect of hemp seed hexane extracts on the Propionibacterium acnes-induced inflammation and lipogenesis in sebocytes,PLoS One. 2018 Aug 27;13(8)
・アトピー性皮膚炎の治療に役立つ可能性がある
次に紹介する論文では、ヘンプシシードオイルがアトピー性皮膚炎の治療に役立つ可能性も示唆しています。
この論文では、アトピー性皮膚炎を持つ患者が食用のヘンプシードオイルを使うことで、皮膚に潤いが保たれ、皮膚の乾燥と痒みも和らぎ、皮膚用の医薬品の使用が減ったとの報告があります。これはヘンプシードオイルにリノール酸(オメガ6)やα-リノレン酸(オメガ3)といった多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれていることに起因していると言われています。
James Callaway,et al;Efficacy of Dietary Hempseed Oil in Patients With Atopic Dermatitis,ermatolog Treat. 2005 Apr;16(2):87-94.
・多価不飽和脂肪酸は月経痛を和らげる可能性がある
ヘンプシードにも含まれる多価不飽和脂肪酸が、月経困難症に伴う月経痛を和らげることも指摘されています。
普段から月経痛を経験する人は多いと思います。月経困難症とは生理直前から生理中にかけて子宮が収縮するときに起きる下腹部や腰の痛み(月経痛)の程度が大きくなり、日常生活に支障をきたす状態をいいます。[*1]
ある論文ではオメガ6多価不飽和脂肪酸が含まれる健康食品(ヒマワリ種子油など)が月経に伴う痛みを和らげる可能性を報告しています。
Chao-Chih Wu;Metabolism of omega-6 Polyunsaturated Fatty Acids in Women With Dysmenorrhea,Asia Pac J Clin Nutr. 2008;17 Suppl 1:216-9.
このオメガ6に含まれる多価不飽和脂肪酸はヘンプシードオイルにも豊富に含まれているため、この論文で報告されているような効用も期待できるといえるでしょう。
*1 一般社団法人日本女性心身医学会 女性の病気について「月経痛(生理痛)とは?」
■最後に

今回取り上げた論文から、ヘンプシードオイルには皮膚の炎症を抑えたり、月経痛を和らげる可能性があることがわかりました。

アトピー性皮膚炎や月経困難症の治療の基本には医師の診断や助言が必要ですが、そのような症状が気になる方は医師にアドバイスを聞きながら、また症状が見られない方もヘンプシードオイルの使い方や効用を踏まえた上で日常の食生活にヘンプシードオイルを取り入れ効用を感じてみてはいかがでしょうか。
体調を崩しやすい梅雨の時期にも、旬なお野菜とヘンプシードオイル で乗りきっていきたいですね!