「プラントベース」に関心を寄せる人々が増えています。すでに食生活に取り入れている人もいらっしゃることでしょう。今回は、プラントベースとはなにか、どのくらいの市場規模なのか、利点やSDGsへの貢献などについても解説します。
プラントベースの魅力を知り、ぜひワンランク上のライフスタイルを手に入れてくださいね。
プラントベースとは?
プラントベース(Plant Based)とは、主に植物由来の原材料で作られた製品のこと。
プラントベースのコンセプトは、現在のライフスタイルに植物由来の食品や化粧品などの製品を積極的に取り入れることです。植物由来の原材料を用い、肉や魚の味を再現した代替食品を「プラントベースフード」と呼びます。
代替肉として原材料に大豆を使用した「ハンバーグ」や「カレー」などが代表的な一例です。 消費者庁によると、主な原材料が植物由来であれば、ミルクや卵など動物由来の添加物が含まれる食品も、プラントベースフードと称して良いとしています。

そのため、プラントベースフードと表示されているからといって、100%植物性を意味するわけではなく、ヴィーガンやベジタリアンにとっての忌避物を含むことがあり、注意が必要です。プラントベースフード製品のパッケージには、一般消費者が勘違いしないように「大豆からつくったソーセージ」などと表示してあるので、購入前に確認してみてください。
なお、海外では、畜肉や魚介類はもちろん、動物性のエキス類が入っている場合は、プラントベースフードとは呼ばないケースもみられます
プラントベース市場規模
プラントベースフードの人気に火がついたのは、ベジタリアンやヴィーガンといったライフスタイルが定着している欧米諸国からでした。大手ハンバーガーチェーン店や外食大手チェーン店なども、代替肉を使った商品を提供しています。ここ数年前から、日本でも代替肉を使った商品が人気を集め、注目されるようになってきました。

■世界的な市場規模
急成長中の市場だけあり、多くの食品大手企業が続々と参入しているのが特徴です。
イギリスの銀行・バークレイズによると、2029年までに世界のプラントベース市場規模は肉市場の約10%を占め、約15兆円相当に上ると試算しています。アメリカの金融機関JPモルガン・チェースは、代替肉の市場規模が2034年までには11兆円をこえるのではないかと推計しています。
■国内の市場規模
国内のプラントベースフードの市場規模は欧米ほどではないものの、拡大傾向にあります。2021年は200億円市場でしたが、2050年には約2.5倍の500億円に達する見込みです。培養肉・培養魚肉・昆虫食それぞれについても、市場規模の推計をみてみましょう。
培養肉:2020年/0円→2050年/約90億円
培養魚肉:2019年0円→2050年/約20億円
昆虫食:2020年/4億円→2050年/約40億円
プラントベースフードのなかでも、食肉を模した培養肉の市場が大きく伸びると推測されていますが、昆虫食市場の拡大も期待されていることがわかります。
■国内企業の動向
企業の動きに目を向けると、大豆ミート企業の市場進出に続いて、2015年ごろからは一般消費者に向けたプラントベースフードが販売され始めました。2017年、大豆を原料とした「カップ麺の具材」が話題となったのは記憶に新しいところです。プラントベースフードは、通販・レストラン・大手外食チェーン店など、急速に市場拡大しています。
今後も多くの食品メーカーが代替肉を活用したプラントベースフードの拡充に力を入れると予測されるため、企業間競争は激化の一途をたどる、といっても過言ではありません。
プラントベースフードの利点
プラントベースフード市場の拡大に伴い、消費者は味の好みやライフスタイルに応じた商品を選択できるようになりました。

利点1:気軽に取り入れられる
プラントベースフードの特長として「ヴィーガンやベジタリアンほど厳格ではない」ことが挙げられます。食品に対する厳格な制限を設けない一般消費者が対象なので、気軽に食生活に取り入れられるのが利点です。
利点2:美容・健康志向にもマッチ
動物性食品と比べると、プラントベースフードはカロリーや脂質の低いものが多く、美容・健康志向の高い人にとってメリットが大きいでしょう。ファスティングなどで体調を整える人や、ダイエット時に活用するケースもみられます。
利点3:和食よりの食事に移行しやすい
肉類に偏りがちな食生活を見直し、野菜や豆類などを中心とした和食よりの食事に切り替える際にも、無理なく移行しやすいのが利点です。
利点4:SDGsにも貢献できる
プラントベースフードは環境保護の観点からも注目を浴びており、持続可能な社会の形成「SDGs」にも大きく寄与しています。世界の人口は増え続けており、数十年後には動物性タンパク質の供給不足に陥る懸念があるのはご存じでしょうか。先進国で動物性タンパク質が足りなくなれば、発展途上国ではとたんに入手しにくくなり、食の不平等や飢餓が生じてしまいます。また、プラントベースフードは、畜産飼育による環境汚染の軽減にも一役貢献できます。なぜなら、畜産によって南米やアフリカ、先住民族らの農地略奪や汚染のほか、地下水汚染、海洋生態系汚染、大気汚染などが問題視されているからです。
私たち一人ひとりがプラントベースフードを取り入れることは、結果としてSDGsが掲げる目標達成にもつながるのです。
プラントベースミルクとしてヘンプミルクもある

動物由来の牛乳に代わり、植物由来の麻の実を原料とした「ヘンプミルク」も登場しています。日本ではなじみが薄いかもしれませんが、欧米では栄養価が高いプラントベースミルクとして牛乳をしのぐ勢いです。ヘンプミルクには必須アミノ酸9種が含まれているため、良質な植物性タンパク質を摂取できます。
ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な点、必須脂肪酸のオメガ6系とオメガ3系が最良なバランスで含まれているのも魅力です。
また、麻の実の栽培・収穫過程におけるCO2排出量は少なく、アーモンドミルク栽培よりもさらに少ない水で栽培できるため、環境への負荷が低いメリットもあります。
牛乳に含まれる乳成分を消化できずにお腹を下す人(乳糖不耐症)や、大豆・ナッツ類にアレルギーをお持ちの方であっても、ヘンプミルクなら拒絶反応が起きない可能性があります。
このような特長からヘンプミルクは「ミラクルドリンク」とも呼ばれおり、ハリウッドセレブや美容健康志向の高い人々からの人気を博しています。
ちなみにヘンプミルクはヘンプシードと水があれば作れます♪
詳しくはこちら「下準備不要で簡単!ヘンプミルクの作り方」
プラントベースが注目される中で、ヘンプ食品は毎日の食事に寄り添います。ぜひ活用してみてください。